ExcelVBAプログラマーの脱属人化
属人化とは、ある特殊な能力を持った社員が一人だけで、その人がいなくなるとシステムに不具合が起きた時に仕事が回らなくなる状態を指します。
Excel業務の自動化などでプログラムを組み、業務効率が良くなる事は良いのですが、その反面、プログラマがいなくなると手も足も出ずに不具合の修正ができなくなり業務が止まってしまうという懸念があります。
このような状況を防ぐために、折角プログラミングの能力を身に付けたのに活かしきれないという場面も出てきます。そのような、属人化しそうなExcelVBAプログラマ向けのアドバイスになります。
プログラム以外でも業務を行える方法を残しておく
全て自動化しようとして、単体のxlsm(マクロ使用ファイル)でプログラムを組んでしまいがちですが、自動化前の状態を保持しつつ自動化のシステムを作る事を検討しましょう。

図のように、必要なファイルをxlsmファイルにするのではなく、読み込みデータ、書き込みデータのxlsxファイルに外側からxlsmファイルで転記を行うようなシステムを構築すれば、xlsxファイルだけの操作で業務を行う事が可能になります。
ただし、このようなプログラムでは、別ブックのデータを扱える能力が必須になります。
もし、入力効率を良くするためのxlsmファイルを作ってデータを作成している場合は、自動化の機能を持たないxlsxファイルを作っておき、VBAが使えなくなった場合を想定しておくと良いでしょう。

このように、ExcelVBAを使わなくても直感的に業務を行える環境を残しつつ、自動化出来るようにすれば、プログラマーが不在になったり、不具合に対応できなくなっても業務を継続する道が残されます。
属人化を懸念する上司への説明
現状の業務を効率良く改善できるようになるとしても、プログラムによって大きくシステムを変更されるのは、責任者(経営者)あれば懸念を持つ事でしょう。
しかし、現状を維持しつつプログラムで業務効率化される形であれば、許可を得るのは容易になるはずです。
もしあなた自身がVBAを使って業務効率を上げようと考えるなら、VBAが使えなくなった場合も想定してシステムの仕組みを考えて、組織への配慮を忘れないようにしましょう。
業務効率を良くするという事は、ただ単に楽をするという事ではなく、空いた時間を別の事に使える。残業を減らして人件費を抑える。など、時間と経費の節約に繋がります。これは実は仕事の質が濃縮された事になり、仕事に余裕を持つ事ができるようになります。
単調で面倒な作業ほど、プログラムに任せて、業務を進めるうえでの判断やアイデアに時間を使った方が社員の能力も向上するというものです。
また、プログラムを組むことで業務システムの流れを知ることができます。それは、業務の流れを具現化することがプログラミングだからです。
一旦業務の流れを把握すると、もっと効率的な方法に気づく事もあります。業務の効率化を俯瞰で眺める良い機会になるでしょう。